日之出ヶ岳が見えるころになると、樹林帯に倒木が目立ち始める。
この日は、黄砂がひどく、頂上からの展望は良くなかった。
空の高いところは、透明度の高い、いい青い色が出ているが、
空の低いところは、くすんだような白いもやがかかっている。
正木峠からのしばらくは、倒木が折り重なり、不思議な光景が続く。
もとは、伊勢湾台風で倒れた木のあとに笹が生え、その笹を食べる鹿が周囲の木の皮を食べ、立ち枯れが広がっていったとのことだった。
この荒涼とした景色が、ほんの半世紀ほどの間に出来上がったことに、驚かされる。
※シリーズ、つづきます。